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洋楽好きによるCDレビュー・ライブレポ中心ブログ-Musique, C'est la vie.

【ライブレポ】【サマソニ2019】オーストラリアの天才マルチプレイヤー・Tash Sultana(タッシュ・サルタナ)

 

youtu.be

Tash Sultana: Tiny Desk Concert ※サマソニの動画ではありません

 

2019年8月17日(金)@幕張メッセ、炎天下の中、ソニックステージに1人小柄な女性が現れた。そう、たった1人で。最初はリハでも始まったのかと思ったが、本番のステージを1人で演奏するようだ。マルチプレイヤーの演奏は初めてでは無かった為、初めの印象は「マルチプレイヤーはすごいよな~」程度だったが、そんなものではなかった。演奏が始まると、彼女の圧倒的な演奏に呆然としてしまったのである。”開いた口がふさがらない”とは、こんな状況の事を言うのだろう。1人でステージに立ち、ギターの音を重ねていく技法、これは世界的トップスター、エド・シーランのライブで見たことがある。しかし、彼女の場合、ギターでけでなく、パーカッションから歌、トランペットまでやりこなしてしまうのである。”ライブ”とは、これまで”生演奏”の事を言っていると認識していたが、彼女のパフォーマンスは”ライブ=音を生み出している瞬間”というのではないかとも思った。圧倒されたまま、彼女のリード曲”Notion”が始まり、一層会場が喜びのどよめきが響いた。あまりに幻想的な空間に、”音楽という芸術”を感じ、映画を見て感動しているような感覚で思わず涙してしまった。そして浸る間もなく新しい曲が生まれ(演奏され)、ジミヘンにも賞賛されたギターソロでまたしても拍手しかできない程ど肝を抜かれた。”天才”の言葉が脳裏に浮かんだのは言うまでもない。どの演奏をとってもハイレベルな彼女だが、ギターは上手いという言葉で済ませられない。”天才”なのだ。フェスという短時間セットを恨んだのはこの日が初めてだったかも知れない。純粋に”もっと彼女の音の世界を堪能したい”、そう病みつきになった空間だった。大阪は悪天候の為出演キャンセルになってしまったようなので、是非今度は単独で、長時間に渡り彼女の音を感じたい。ここまで圧倒されたライブは、私の音楽ヲタク人生で初めてであり、一瞬にして人生ベストアクトを塗り替えられた時間だった。

 

ぽむろぐ