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洋楽好きによるCDレビュー・ライブレポ中心ブログ-Musique, C'est la vie.

【ライブレポ】【フジロック2019】見た目は少女・歌えば魅惑の女性、アフリカ出身Alice Phoebe Lou

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Alice Phoebe Lou live at Primavera Sound 2019 ※フジロックの映像ではありません

 

2019年7月27日(土)、今年のフジロックで1番雨が降り、Green Stageでは初来日のSIAが熱演をしているというある意味最悪の状況下で、Gypsy Avalonに現れた金髪の”少女”。年齢は知っていたが、あまりに表情、仕草が可愛らしく、ステージが始まるまではあの歌声が想像できなかった。初来日、初フジロックでこの状況は本当に気の毒だと思いながら、私のフジロック二日目の大本命は見事に想像を遥かに超えるステージを見せてくれた。

曲が始まるやいなや、さっきまで目の前にいた”少女”は消え、”魅惑の女性”が大きめに見えるギターを背負い見事な歌声を響かせていた。表情が全く違うのだ。滝のような雨が降っていることを忘れさせてくれるくらい、彼女の演奏する音楽が、豪雨の中のライブという過酷な現実を華やかなものに変えてくれた。本当に不思議だった。彼女のライブは普通の感動ではなく、”異空間”に誘ってくれる感覚だった。個人的に好きな曲「Galaxy」の時は、本当に宇宙にいるかのような、無重力を感じられる、会場の広さを忘れさせてくれる、不思議な美しさを放っていた。彼女の歌声、そして小さな身体を自由自在に揺らし全力で音を伝えている姿、バックバンドの男性陣が彼女を支える姿、雨を忘れる観客。そんな素晴らしい空間がフジロックの小さなステージで繰り広がれていた。

さっきまであまりに止まらない雨に愕然としていたのに、そんなこと忘れてしまったくらいに彼女の奏でる音楽に惹きつけられてしまい、あっという間の50分間だった。演奏が終わるたびに”少女”に戻る彼女、「アメヤバイネー」とカタコトな可愛らしい日本語を発する彼女、そして再び”魅惑な女性”に戻る彼女。本物のアーティストとは彼女のような自然体な姿を見せてくれるアーティストの事を言うのかもしれないと、新しい感覚を覚えさせてくれた。次は是非、Filed Of Heavenで、雨のない夕暮れどきに彼女の世界に浸りたいと、日本へのカムバックを願うばかりである。

 

 

ぽむろぐ